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ECサイトはスマホ化すべきか?(1)トラフィック改善から考える、華麗なる爆死防止方法


Oume station/jetalone

「スマホサイト作れば売上上がる!」とトラフィック見ずにいう奴は99.9%パーセント馬鹿だと思う。まともな効果試算をしないで「なんかよさそう」ですすめたプロジェクトは、99.9%華麗な爆死を遂げる。
スマホサイトのEC担当して、効果試算を繰り返してつくづく思った。

ついに2011年スマホがガラケーの新規出荷台数ぬいて、全出荷台数のうちの55.8%占めたというニュース(2012年4月26日)とか、iphone5はいつでるとか、なんやら世の中スマホが盛り上がってる風な空気になっている。そんな空気ゆえ、今はまさにスマホ売上伸び悩むECやサービスで、スマホ対応が叫ばれまくってる時期だ。
「スマホサイト作れば売上あがるよね、やってよ!」と突如言い出す上司とか怪しげなwebコンサル的な人たちも、さぞかし雨後の筍のごとく溢れかえってることだろう。ぼこぼこ。そしてそんな雨後の筍を狙いすましたかのように、「安くスマホサイトつくれます!」とか、「既存のPCサイトやガラケーサイトを変換して簡単にスマホサイトできます!」そんな広告も溢れまくってる。

じゃあ、そんな奴らがいうとおり、本当にスマホサイトを作ったらECの売り上げ上がるのか?
今回はまず「トラフィック改善」という点から考えてみたいと思う。

トラフィック改善の期待効果、算出方法


Indicadores de Gestión para Acreditación Universitaria / Club Tablero de Comando

「スマホサイトをつくったら、トラフィックが改善されて、売り上げがあがる」かどうか確かめるため、まず、PCサイトのトラフィックと主要なページの日別UUをだす。
その後、スマホで上記のページにアクセスしてきているUUをだす。アクセスログをユーザーエージェント別でみてぬきだせばいい。
なお、このとき、iPadをのぞくのをお忘れなく。iPadはスマホ最適化させた画面ではなく、PCサイトをみせても遜色がないので、スマホ対応対象としては入らないからだ。

※今回の場合、話を単純化させるため、トップ→商品検索→商品詳細→決定してログイン(カート)→個人情報入力→入力確認→完了 というフローと仮定する。

画面名 PCのUU/day スマホのUU/day
TOP 5000 500
商品検索 4000 350
商品詳細 3000 200
カート 300 20
個人情報入力 150 10
確認 60 3
完了 30 1

こんな現状だということはわかった。
では、スマホサイト、どこまでのばせる余地があるのか。注目したいのが「突破率」だ。
当然、PCの画面をしこしこスマホでみてる人は、拡大と縮小(ピンチインとピンチアウト)を繰り返す。閲覧には手間がかかる。閲覧した人の方が突破率が少ない。スマホの予約はかなり少ないはずだ。

画面名 PCの突破率 スマホの突破率
TOP→商品検索 80% 70%
商品検索→商品詳細 75% 57.1%
商品詳細→カート 10% 10%
カート→個人情報入力 50% 50%
個人情報入力→確認 40% 30%
確認→完了 50% 33%
トップ対完了突破率 0.6% 0.2%

基本的に、スマホサイト対応しても、突破率は劇的に跳ね上がることはない。
PCサイトの突破率程度にひきあがると考えるのが現実的だ。
じゃあ、PCサイトと同じ程度の突破率に上がったら=CVRがPCと同等になったらどうなるか。

500×0.6%=3

件数は3件となります。+2件/day の積み増し。

・・・・・( ^ω^)

一件あたりの客単価と粗利を考える。


Profit / 401K

気を取り直して。どんだけ売り上げがあがり、粗利が入るかを考えてみる。
ここで注意したいのは客単価だ。PCの客単価より、スマホの客単価は確実に落ちると考えた方が安全だ。
スマホで決済をしよう、という人がそもそも少ないし、いたとしても、うん万円の商品をスマホでかう、というのは躊躇する人が多いと思う。私がF1F2層に対してユーザーテストをした時、参加者4名のうちスマホでアプリ以外の物をスマホ通販で購入したことがある人は一人だけだった。
また、年齢が若ければ、カード決済率も減り、コンビニ決済とか銀行決済とか入金しづらい方法で購入する割合も増える(当然入金せずキャンセルされる率も上がる。)。客単価はPCの8割くらいでみておいたほうがいいかもしれない。

そこに粗利率をかけてみる。
客単価を1万円の通販で、粗利率が20%とする。

2件(一日で積みませる件数)×1万円×8割×20%=3200円

この3200円が、スマホサイト化による一日の利益だ。
一ヶ月だと96,000円の利益。ちょっとした積み増しになるかもしれない。
しかし、忘れてはいけない。運営コストが必ずスマホサイトはかかることを。

スマホサイトの運営コストを考える


Money / Images_of_Money

ちなみに、PCサイトからスマホサイトを「かんたん」につくる(らしい)にはこんなサービスがある。

■たぶん最安値:エリクサーユニバーサル

・初期費用なし
・月額31500円
・SSlつけたら+10500円(ECだとこれ必須)
※ただし自動変換で、デザインの自由度は相当低いし、カスタマイズの工数も必要。そのカスタマイズ工数ってどこからでるのかなーアハハハ!

■業者がしっかりレイアウトやってくれそう:SPコンバート

・初期費用 200万円〜
・月額5万円〜
たぶん業者がしっかりレイアウトとかもしてくれそう。担当者としてはすてきですね!そしてお値段もすてきなかんじですね^^!

・・・・どうなんだろう。得られる96,000円の利益にたいして、コストを安いとみるか、高いとみるか。それぞれの状況によって利益と月額費用はわからないのでなんともいいづらいが、少なくとも私がこのサイトの担当者だったら、スマホサイト対応はしないと思う。

スマホ対応しないかわりに、PCサイトの改修をする。既存のPCサイトをスマホでみたとき、PCと比較して突破率が悪い画面を改修し、スマホでもみやすくしてあげるだけでも効果は多少でるから。
上記の場合だと、以下の2画面。特に検索結果のUUをあげれば、影響はでかいはず。

・検索結果(スマホの突破率、PCより17.9%低い)
・確認画面(スマホの突破率、PCより17%低い)

スマホで崩れてるとこをなおすのはもちろん、コンバージョンへのボタンを大きくするとか、いらない導線を削除するとか、不要な入力フォームはなくすとか、そういうレベルね。
何もスマホ対応しなくとも、PCサイトでできることはまだまだあるのではないかと思うのだ。

以上、トラフィック改善から考える、スマホECサイトの華麗なる爆死回避方法でした。

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