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NHN Japan、ネイバージャパン、ライブドアが経営統合へ 「世界で役立つサービスづくりを」

» 2011年11月07日 16時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo ライブドアの出澤剛社長(右)、ネイバージャパンの舛田淳 事業戦略室室長チーフストラテジスト

 NHN Japanと同社傘下のネイバージャパン、ライブドアは11月7日、2012年1月1日付で「NHN Japan」として経営統合すると発表した。Webサービスのグローバルでの競争が激化する中、経営統合によってサービスの競争力を高める狙い。既存サービスやブランドは残し、今後開発するサービスも種別によって「Hangame」「NAVER」「livedoor」といったブランドを使い分ける。

 経営統合後、NHN Japanはオンラインゲーム事業を行う「ゲーム本部」と、検索/ポータル/メディアなどの事業を行う「ウェブサービス本部」の2部門制となる。ゲーム本部はNHN Japanのオンラインゲーム「Hangame」の運営を担い、ウェブサービス本部はネイバージャパンとライブドアの各種Webサービスを承継する。

 統合後のNHN Japanの代表取締役社長は、引き続き森川亮 現NHN Japan社長が務める。ゲーム本部の代表は森川氏が兼務し、ウェブサービス本部の代表には出澤剛 現ライブドア社長が就任する。

 ライブドアが運営しているデータセンター事業は、12年1月1日付でNHN Japanの100%子会社「株式会社データホテル」として分社化。コンシューマー向け事業はNHN Japan、法人向け事業はデータホテルと、両社の役割を明確化する狙いだ。データホテルの代表取締役社長には、現ライブドアの嶋田健作 執行役員ネットワーク事業部長が就任する。

 ライブドアの子会社であるジェイ・リスティングも、NHN Japanの子会社として承継される。

本当の意味のシナジーを

 ライブドアは2010年5月にNHN japanの子会社となって以来、ポータル「livedoor」の検索エンジンにNAVERを採用するなど、NHN Japanグループ内でサービスの連携を図ってきた。だが「どんなにコミュニケーションをとっても組織としての壁があり、あくまで部分連携にとどまっていた」とネイバージャパンの舛田淳 事業戦略室室長チーフストラテジストは話す。

 統合後はサービスの連携をより深め、収益モデルとしての「課金」「広告」に関する各社の強みを組み合わせた事業展開を目指す。「例えば、Hangameのアバターやアイテム課金などの仕組みを(ライブドアとネイバージャパンの)Webサービスの中に組み込めば、新しいビジネスモデルが生まれる。また、現在はある程度ユーザー層が絞られているHangameのターゲット領域を、Web全体に広げていくことも考えられる」(舛田氏)

 また、12年秋には本社オフィスを東京・渋谷駅前の新スポット「渋谷ヒカリエ」へ移転する予定。合計で400人超となるエンジニアやデザイナーの協働体制を築き、「本当の意味のシナジーを生み出していく」(出澤社長)という。新設するウェブサービス本部では、ネイバージャパンの無料通話・メッセンジャーアプリ「LINE」を始めとするスマートフォン向けサービスの開発に集中投資していく考えだ。

「一抹の寂しさはあると思うが、世界で役立つサービスを」

 NHN Japanグループ全体のPC向けサービスのユニークユーザー数は月間4300万人(2011年9月、comScore調べ)。また、ライブドアがNHN Japanグループ入りをして以来「開発に集中できる体制ができたことなどにより、『livedoor Blog』の月間PVが以前の2倍以上に増えた」(出澤社長)ほか、10月にはLINEのダウンロード数が全世界で300万件を突破するなど、「各社ともに業績は好調」(舛田氏)という。

 「3社は元々、韓国NHNの100%資本に基づく経営体制のため、合併に当たっての資金的な理由は一切ない。むしろ成長しているブランドや法人同士を統合することで、本気度を伝えていきたい」と舛田氏。今回の経営統合は「競合に対する共通の課題意識のもとで、前向きに話が進んだ」という。

 各社のサービス領域に関しては、「(ライブドアがグループ入りしてからの)1年半で自然と整理されており、既に重複分野はほとんどない」(出澤社長)という。また各社の得意とするビジネス領域も異なっており、「ネイバーはLINEなどの新サービスの開発に強みがある。ライブドアは大きな取引を進める技術や、サービスのマネタイズをしていくノウハウがあるため、相互補完のよい関係になるだろう」と出澤社長は期待する。

 「ライブドアやネイバージャパンの社名がなくなることに関しては、社員それぞれ複雑な思いがあると思う。だが、われわれの最大の目標は日本中や世界中の人々に使ってもらえるような大きなサービス、役立つサービスをつくるということ。その目的を達成するために、3社のリソースをみんなでフル活用してチャレンジしていきたい。社員にとっては一抹の寂しさはあると思うが、きっと前向きにとらえてくれると思う。あとは“結果”で勝負したい」(出澤社長)

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