「Google+」発表、ソーシャル要素をGoogle全体に取り込むプロジェクト

「人間関係の微妙なニュアンスをオンラインで再現」


 米Googleは28日、ソーシャルな要素をGoogle全体に取り込むためのプロジェクト「Google+」を発表した。現時点では招待制で一部のユーザーにのみ公開されている。登録すれば最新状況の通知を受けることができるとしている。

 「Google+」は、「リアルな人間関係の微妙なニュアンス」を「オンラインに再現するためのGoogleの試み」とされている。このうち現段階で公開されているのは5つの機能だけだ。しかし、「Google+」はGoogleトップページのデザインの中にも取り込まれており、今後さらに多くの要素がさまざまなサービスの中に表れてくる可能性がある。

「Google+」プロジェクトのサイト

 同日公開されたGoogle+の機能は、「サークル」「Sparks」「ビデオチャットルーム」「インスタントアップロード」「グループチャット」。

 「サークル」は、人間関係の単位となる。例えば家族、高校時代の友人、大学時代のサークル仲間などのサークルを作成し、友人を登録できる。さまざまな「友人」をひとくくりにし、全員の前で何かを「つぶやく」緊張や気まずさを解消し、リアルな人間関係に近い気軽な交友や情報共有が行えるようにすることを目標としている。

 「Sparks」は、自分が興味のある事柄の単位で、これをきっかけにして興味のあるコンテンツを探し出すためのツールとなる。関心事を「Sparks」に登録でき、同好の士と盛り上がることができる仕組みだ。Googleはこれらのコンテンツを探しやすくする仕組みを提供する。Sparksのトピックは自由に指定でき、40以上の言語に対応している。

 「ビデオチャットルーム」は、何げなくぶらりと立ち寄ることのできる会話の場所と位置付けられている。そうすることによって、「相手は仕事をしているのではないか」「呼びかけたのに返事がないけれど居留守を使われたかも」などと気を遣わずに、そこに立ち寄った人と気軽に会話を楽しめる。

 GoogleはAndroid Marketで「Google+アプリ」を公開し、この中にモバイル向けの「インスタントアップロード」機能がある。自分が撮影した写真を即座にクラウドにある自分個人のアルバムにアップロードするように設定できる。そこから友人に簡単に共有できる仕組みだ。また、このアプリで位置情報を共有することもできる。

Android Marketで公開した「Google+アプリ」

 「グループチャット」では、サークルの仲間が一堂に会し、リアルタイムでチャットできる機能を提供している。

 「Google+」という名称からもわかるように、これはGoogle全体を一歩前進させる大きなプロジェクトであり、単なる一サービス/一機能にとどまらない。今回の発表に合わせ、Googleは最も重要なトップページのデザイン変更など、さまざまなサービスのデザインをアップデートすることを発表している。トップページのデザイン変更は興味深く、最上部に黒いバーが表示されている。そこにはGmailやGoogle Docsなどおなじみのメニューが表示されているわけだが、左側の最重要部分にソーシャル機能として「+You」(日本語では「+あなた」)と表示されるようだ。

Googleトップページのデザイン変更

 また、Googleのソーシャルデータを他社サービスに簡単に移行できるようにする。このために新たなツールが開発され、Google Buzz、コンタクト、サークル、Picasaウェブアルバム、プロフィールの情報を、vCardやJSONなどといった複数のフォーマットでダウンロードできるようにする。これによってGoogleのサービスにいわば“ロックイン”されることを防げる。Googleでは、このような方針は「Facebookの同種の試みとは大きく異なっている」とし、対決姿勢を示している。

 Googleは発表文の中で、「オンラインでの情報共有のあり方を見直すべき時にきており、その第一歩を踏み出すことにした」と述べている。今後、「Google+」があらゆるサービスに取り込まれ、ソーシャルな様相を強めて行くことになりそうだ。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2011/6/29 11:32