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[調査] 世界トップ200ブランドの70%がFacebookやTwitter公式ページのSEOに失敗

2011年05月11日 04時10分更新

記事提供:SEMリサーチ

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FacebookやTwitter、YouTubeなど主要なソーシャルメディアに公式ページを開設する企業は着々と増えているが、それらのページはきちんと検索エンジンから探し出せる状態になっているだろうか。SEOソフトウェアを開発する米BrightEdgeが世界トップ200ブランドを対象に、ソーシャルメディアの検索エンジン掲載状況を調査した。また、日本の状況もわかるように、本サイトは国内でソーシャルメディアを積極的に活用している企業30を対象に、同種の調査を実施した。

BrightEdgeによる世界トップブランドのソーシャルメディア掲載状況
世界のブランド企業トップ200の70%が、FacebookやTwitter公式サイトが20位以内に掲載できていない状況

約70%の企業ソーシャルメディア公式ページが検索上位20位に表示されず

BrightEdgeはFortune 500企業から抽出した世界のトップ200ブランドの企業公式ソーシャルメディアのページを対象に調査を実施した。各々の企業のブランドキーワードで検索した際には、ほぼ100%、企業コーポレートサイトが1位に表示された。しかし、同じブランド名で検索した時、70%の企業のFacebookまたはTwitter公式ページが検索結果20位以内に表示されなかった。

企業の業種別に見ると最も成功しているのが小売業で、23社中13社のTwitter公式ページが上位20位以内に表示された。逆にランキング状況が芳しくないのが金融・保険業界で、Facebookファンページが20位以内に表示されたのは43社中わずか3社のみだった。

BrightEdge CEOのJim Yu氏は、『ブランドの多くがソーシャルメディアチャネルに多くの予算をつぎ込み、消費者とのエンゲージメントを強める優れたコンテンツを制作している』と述べ、『消費者が簡単にソーシャルメディア公式ページを探し出せないのであれば、企業は消費者との大切なタッチポイントを失っている』と指摘している。

なお、ソーシャルメディアの検索順位状況について、Facebook Likes(いいね)の数やファンの数、Twitterのフォロー/フォロワー数と検索順位に相関関係はなかったという。たとえば、16万以上のLikesを得ているサイトでも上位20位以内に表示されないことがあった。


Facebook / Twitter ブランドキーワード単体の最適化は必要か?

以上がBrightEdge社による調査結果であるが、この調査では「ブランドキーワード検索時に、ソーシャルメディア公式ページが検索上位に表示されることの必要性」について言及していない。本当に必要なのだろうか?

検索マーケティングの世界では、検索結果画面という面をメディアとして捉え、自社と深く関連するブランドキーワードで検索した際にその面全体が最適な状況(ここでいう"最適"とは、ブランドに関する信頼できる一通りの情報が表示されている状態を指す)にしようというORM(Online Reputation Management)の考え方がある。ORMを追求するという観点からは、確かにソーシャルメディア上の公式ページも企業のコーポレートサイトと並んで掲載されることは望ましいといえる。

しかし一方で、ブランドキーワードの大半がナビゲーショナルクエリ、つまり特定のサイトへアクセスすることを目的に検索しているクエリであるため、コーポレートサイトや関連する公式ウェブサイトが1~3位に掲載されていれば検索ユーザーの需要は十分満たせるはずで、仮に表示されたところで検索トラフィックという実利は得られない可能性も十分に考えられる。

ユーザの検索クエリデータもそれを裏付けている。たとえば Dell を例にとると、"dell" の他に "dell twitter" "dell facebook" といった、TwitterやFacebookページへの訪問を意図した検索クエリが十分に存在する。NIKE、Motorola、Sprint、Samsung、LG、Nintendo、PlayStation、BestBuy、Ford、Toyota、など、いずれの企業も facebook や twitter と企業名を掛け合わせた相当量のクエリ量が存在する。さらに Googleトレンドのデータを参照すると、[ブランド] x [twitter / facebook] のキーフレーズの検索ボリュームは時間の経過と共に増加傾向にある。SEOの基本原則の1つである「ユーザの検索意図・求めているものに合致した、関連性のあるページのファインダビリティを高めること」を考えた時、自社が展開するソーシャルメディアの名称と組み合わせたキーフレーズでの最適化の必要性は十二分に説明できるが、ブランドネーム単独での積極的な対策の必要は本当にあるのだろうか?あるいは、ブランドネーム以外のキーワードでFacebookやTwitterページを表示することの検索ユーザーのメリットは何だろうか?

Facebook Connect や Facebook Social Pluginを利用してサイトと連携したマーケティングを行っている企業であれば(大抵はそういう使い方をしているが)、検索からの誘導経路を積極的に確保する必然性も薄いともいえる。

TwitterやFacebookの企業公式ページは、特定ソーシャルメディアとブランドの組み合わせのキーワードであれば、ウェブサイトと連携させつつソーシャルメディアマーケティングを継続的に展開すれば自然と検索順位は上がってくるため、従来の(ウェブサイトに対する)SEOほどリソースも積極性は必要ない。もし短期間で確実に、ブランドネーム単体での検索チャネルを獲得したいのであれば、そのビジネスゴールを明確にした上で必要性を判断したらいかがだろうか。

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ここまでをまとめると、facebook や twitter といった特定ソーシャルメディアのブランドキーワードと企業や商品ブランドの掛け合わせ検索時した時に当該公式ページが表示されるのであれば、検索トレンドもあわせて考慮すると現状、特段問題視すべき状況とは思えない、ということです。もちろん、ORMの観点から検索結果の「面」の最適化を行う、そして企業・組織のミッションとしてそれを達成するための合理的理由があるのであれば問題はありません。特定ブランドネーム検索時に、絶対に自社ブランド関連コンテンツで占拠したいといったビジネスの事情があるケースもあるでしょう。しかし、大した考えもなく、単純にFacebookやTwitter公式ページも順位上がったら検索トラフィックが2倍にも3倍にもなると勘違いしている企業担当者も少なくなさそうですが、それはどうなんでしょう。

最後に、せっかくなので日本の企業を対象に同様の調査をしました。アジャイルメディア・ネットワークが2011年2月に発表した、「ソーシャルメディア活用企業トップ50 」のリスト上位30件を対象に、TwitterまたはFacebookページがGoogle検索結果20位以内に表示されたか否かを調査しています。利用した検索クエリは、基本的に株を除いた企業名ですが、自動車関連は「自動車」を除きました(例 トヨタ自動車→トヨタ)。


ソーシャルメディア活用企業トップ30 Facebook / TwitterのGoogle検索順位
social-media-top-30-japan-seo.png

TwitterまたはFacebookページいずれかがGoogle検索結果20位以内に表示されたのは8社でした。トップ10企業で表示されたのは0件。良品計画さんはTwitter、Facebookともに20位以内に表示されていました。ほか、バンダイナムコ、タワーレコード、HIS、ユニクロなどがソーシャルメディア公式ページが20位以内に表示されました。


BrightEdge Study Finds Approximately 70 Percent of Top 200 Brands Failing to Optimize Social Media for SEO
http://www.brightedge.com/2011-04-18-brightedge-study-social-media-seo-optimization

AMNがソーシャルメディア活用企業トップ50を公開 ~トップ3は1位「コカ・コーラ」、2位「サントリー」、3位「セガ」~
http://agilemedia.jp/pressrelease/amn50.html

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