データで見るGoogle「ファーマー」更新の勝者と敗者

公開日:2011/03/03

最終更新日:2024/03/15

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Googleが行ったコンテンツファーム対策と見られる大規模アルゴリズム更新に関する状況分析をサーチエンジンランドから。SEO Bookの記事よりさくっと読めます。今回、最もダメージを受けたサイトは何とあの会社だったようです。 — SEO Japan

2月24日、グーグルは検索アルゴリズムに対する大きな変更の告知を行った。この変更は、浅はかなコンテンツおよび質の低いコンテンツを検索結果の上位から取り除くための取り組みであった。ターゲットはコンテンツファームだと見られていた。それでは実際にコンテンツファームは影響を受けたのだろうか?どのサイトが被害を受けたのだろうか?そのデータが手元に届きつつある。

皆さんは、ディマンドメディアのウェブサイト「eHow」が、損害を被ったと予想していただろうか?そんな人達が驚くデータが出てきた。2つの調査の結果によると、eHowは恩恵を得ていたことが分かったのだ。現在、データの一部を処理している段階だが、最もダメージが大きかった、“コンテンツファーム”タイプのブランドはAssociated Content(アソシエイティド・コンテンツ)のようだった。

Sistrixが明かす敗者

Sistrix(シストリックス)は、アルゴリズムの変更以前および以降の100万のキーワードを調査した。その後、「ビジビリティ」(シストリックス独自のインデックスのバリュー)で格付けした。ビジブリティは、キーワードでのポジションを失った数、具体的なランキングのポジション、そして、この結果から推測されるクリックスルー率を考慮して算定されている。

インデックスを利用する点は理に適っていると言えるだろう。なぜなら、失ったキーワードの確率のみでランクを決めると、比較的ランクインが少ない一部のサイトが上位の“敗者”リストを独占してしまうからだ。以下に、シストリックスにより、ビジビリティを大きく失ったと算定されたドメインを挙げていく:

ドメイン ビジビリティのインデックスの損失 SISTRIX (失った%)
wisegeek.com 93.3622 -77%
ezinearticles.com 58.4273 -90%
suite101.com 50.755 -94%
hubpages.com 47.7632 -87%
yourdictionary.com 39.5044 -74%
brothersoft.com 37.6418 -66%
buzzle.com 36.7005 -85%
associatedcontent.com 35.7198 -93%
freedownloadscenter.com 27.2522 -90%
essortment.com 23.4146 -91%
fixya.com 22.9456 -80%
americantowns.com 22.6942 -91%
lovetoknow.com 21.4714 -83%
articlesbase.com 18.7999 -94%
howtodothings.com 17.8122 -84%
mahalo.com 17.2586 -84%
automotive.com 16.9008 -71%
business.com 16.104 -93%
doityourself.com 15.9952 -77%
merchantcircle.com 15.7573 -85%
thefind.com 15.6825 -83%
wrongdiagnosis.com 15.5617 -73%
findarticles.com 15.2418 -90%
faqs.org 15.0573 -91%
tradekey.com 15.0415 -89%

上の表はシストリクスのサイトに掲載されている表とは若干異なる。シストリックスから送ってもらったスプレッドシートを使って(とりわけ以下の表で)、シストリックス自身の投稿に利用したファクターを基に私が表を作成したためだ。現在、照合を行っている。

Sistrix: 最もキーワードのランキングを失ったのは?

要求に応じて、シストリックスはこの分析でランキングを失った331のドメインが掲載された完全なリストを送ってくれる。シストリックスの許可を得て、以下に失ったキーワードのポジションの総数を基に損害を受けた上位のドメインを100個挙げていく。また、この表には失った確率も表示されている。例えば、AssociatedContent.comは変更の前は21万6,419が上位にランクインしていたが、5万3,512に激減していた。つまり、16万2,917もしくは75%を失ったことになる。

ドメイン 失ったポジション % 損失
associatedcontent.com 162,917 75%
suite101.com 141,469 79%
ezinearticles.com 130,231 71%
hubpages.com 102,820 67%
buzzle.com 62,049 72%
merchantcircle.com 58,666 63%
wisegeek.com 52,084 70%
articlesbase.com 50,909 62%
findarticles.com 44,621 69%
answerbag.com 41,260 61%
examiner.com 39,509 56%
manta.com 36,945 48%
freedownloadscenter.com 34,494 81%
yourdictionary.com 32,981 67%
lovetoknow.com 31,711 64%
trails.com 29,835 78%
thefind.com 29,011 39%
travelpod.com 28,513 68%
brothersoft.com 27,594 40%
docstoc.com 26,650 56%
fixya.com 25,867 42%
howtodothings.com 25,621 77%
mahalo.com 24,135 71%
insiderpages.com 23,346 70%
faqs.org 22,506 67%
prlog.org 22,254 57%
kaboodle.com 21,949 39%
citytowninfo.com 21,615 86%
shopwiki.com 21,528 43%
roadsideamerica.com 21,510 73%
buzzillions.com 21,421 48%
tradekey.com 21,096 56%
essortment.com 20,042 73%
uptake.com 19,655 58%
encyclopedia.com 19,625 51%
helium.com 18,931 66%
wordiq.com 18,877 77%
springerlink.com 18,625 49%
livestrong.com 18,175 38%
business.com 16,743 78%
doityourself.com 16,386 70%
americantowns.com 16,201 62%
prnewswire.com 15,162 70%
cinemablend.com 14,259 72%
epodunk.com 14,190 78%
vodpod.com 13,766 38%
labnol.org 13,541 85%
medicalnewstoday.com 13,426 75%
mytravelguide.com 13,340 69%
highbeam.com 13,324 34%
blogcritics.org 13,312 57%
chacha.com 12,900 48%
retrevo.com 12,601 35%
sharewareconnection.com 12,600 54%
planetware.com 12,387 75%
ptf.com 12,380 41%
digitaltrends.com 12,154 67%
testfreaks.com 11,938 63%
galttech.com 11,804 76%
aceshowbiz.com 11,639 67%
userinstinct.com 11,410 47%
viewpoints.com 11,191 55%
destination360.com 11,167 76%
topshareware.com 11,000 48%
consumeraffairs.com 10,832 80%
onsugar.com 10,699 40%
stateuniversity.com 10,560 70%
allbusiness.com 10,423 63%
blurtit.com 10,331 47%
everything2.com 10,298 76%
kioskea.net 9,781 32%
travelpost.com 9,412 75%
wrongdiagnosis.com 9,293 52%
technorati.com 9,135 67%
whosdatedwho.com 8,986 58%
entrepreneur.com 8,974 75%
slideshare.net 8,909 27%
geek.com 8,632 65%
gizmag.com 8,594 46%
mp3.com 8,577 64%
trendhunter.com 8,539 66%
fotosearch.com 8,473 48%
daniweb.com 8,316 61%
iloveindia.com 8,240 58%
eventful.com 7,948 55%
globalsources.com 7,927 34%
songkick.com 7,908 50%
eggheadcafe.com 7,828 47%
ubergizmo.com 7,807 73%
ez-tracks.com 7,779 62%
popcrunch.com 7,728 63%
ghacks.net 7,695 78%
healthcentral.com 7,660 59%
5min.com 7,652 62%
famouswhy.com 7,619 63%
fanpix.net 7,445 64%
ilike.com 7,401 62%
torrentreactor.net 7,252 29%
bellaonline.com 7,171 69%
hotel-rates.com 7,124 67%

異を唱えるUbergizmo

上の表の下の方を見ていくと、Ubergizmoと言うサイトがリストアップされている。しかし、以下のコメント欄で、Ubergizmoのハバート・グエン氏は、シストリックスが誤っていると示唆している。同氏のサイトの検索関連のトラフィックは、変更が行われてから増加しており、それを証明する表を投稿している:

グーグルウェブマスターセントラルのデータが使われているようだ。しかし、シストリックスのデータは正しく – Ubergizmoはランキングを失っているかもしれないが、別の検索では、その他のサイトがランキングを落とす中、同サイトがランキングを獲得している可能性がある。

Sistrix: キーワードのランキングの損失 %が最も大きかったのは

以下の表は、シストリックスのリストの中で、最も損失が大きかったサイトの上位25サイトを取り上げたものだ:

ドメイン 失ったポジション 損失 %
transitionsabroad.com 3,752 88%
citytowninfo.com 21,615 86%
labnol.org 13,541 85%
thedailygreen.com 6,359 83%
webreference.com 2,717 83%
daviddarling.info 3,236 83%
referenceforbusiness.com 5,468 83%
webdevelopersnotes.com 3,229 81%
1000ventures.com 1,354 81%
freedownloadscenter.com 34,494 81%
worldwidelearn.com 4,326 81%
educationworld.com 4,924 80%
cultofmac.com 4,535 80%
cnx.org 3,657 80%
consumeraffairs.com 10,832 80%
techblissonline.com 4,590 80%
madehow.com 2,964 79%
suite101.com 141,469 79%
fabjob.com 1,039 79%
world66.com 5,966 79%
guidetoonlineschools.com 2,281 79%
petplace.com 2,662 79%
forleasebyowner.com 1,239 79%
geckoandfly.com 4,041 79%
knowledgehound.com 1,211 78%

Sistrix: ディマンドメディアとeHowが脱走

面白いことに、コンテンツファームをターゲットに据えた今回のアップデート(そう考えているのは私だけではないはずだ)だが、ディマンドメディアを代表するサイト、eHow.comはリストアップされていない。その他の300を超えるサイトの“ビジビリティ・インデックス”はeHowのビジビリティよりも大きく落ちていた。事実、シストリックスによると、eHowのビジビリティの価値は上がり(270から310)、上位にランクインしたページの数も31万7,320から32万4,021へと増えているのだ。

しかし、その他のディマンドメディアのサイトはダメージを受けている。AnswerBag.comとTrails.comは共にビジビリティの敗者リストのトップ 25にギリギリでランクしている(シストリックスのデータを用いて、私が作成したトップ 25のリストではそれぞれ32位、34位であった)。失ったポジションに関して、%ベースでは39位であったLiveStrongだが、失った数はたった293だけであった。AnswerBagは失ったポジションの数では10位にランクインし、Trails.comは16位であった。%ベースでは、AnswerBagは大きく後退し、158位であった。一方のTrails.comは27位であった。

全体的に、少なくともシストリックスのデータを見る限りでは、ディマンドメディアは今回のアップデートで健闘したのではないかと考えている。

敗者を検証するSEO Book…

SEObookでは、アーロン・ウォール氏が上述したシストリックスのスタッツを検証し、勝者のリスト(日本語訳済)を策定しようと試みている。ウォール氏は、eHowに似ているサイトのリストを用意している(ディマンドメディアによって運営されているものの、シストリックスのリストでは上位にラインクインしていないが、それでも一部の人達からはコンテンツファーム扱いされているサイト)。ウォール氏は、次にサイトのリストを分析し、トラフィックが増えたサイトと減ったサイトを確認した。大きくトラフィックを失ったサイトは次の通りだ:

  1. ezinearticles.com
  2. associatedcontent.com
  3. suite101.com
  4. hubpages.com
  5. buzzle.com

勝者

そしてトラフィックが増えたサイトを以下に挙げていく:

  1. youtube.com
  2. ebay.com
  3. facebook.com
  4. instructables.com

包括的な分析ではない点を肝に銘じておいてもらいたい。今回のアップデートによってさらに多くのトラフィックを獲得したサイトは存在する可能性が高い。しかし、そのサイトをあぶり出すのは難しい。しかし、ウォール氏の検証は「コンテンツファーム」のカテゴリーにおいては最善の取り組みだったと言えるだろう。

ダン・アバモント氏の見解

ダン・アバモント氏は、私の理解が正しいなら、約6万のクエリを集めて、ランキングをGoogle.comとGoogle.caで比較したようだ。Google.caはカナダのグーグルのサイトである。アバモント氏は、変更は米国のみで反映されているなら、グーグルカナダを使って比較することで、ビフォア・アフターを検証することが出来ると考えている。

同氏のロジックが正しいとは私には思えない。グーグルカナダは地域にターゲットを絞った結果を提供する。これはGoogle.comとは異なる。ランキングの変更には、この違いが影響している可能性がある。とりあえず、以下に同氏の発見を掻い摘んで紹介していこう:

  • ezinearticles.comは平均で34のポジションを失った
  • hubpages.comは平均で31のポジションを失った
  • squidoo.comは平均で15のポジションを失った
  • articlesbase.comは平均で29のポジションを失った
  • buzzle.comは平均で30のポジションを失った
  • associatedcontent.comは平均で22のポジションを失った
  • suite101.comは平均で33のポジションを失った

アバマント氏は、分析したい人のために、この調査に関する投稿の一環として、全てのデータセットを提供している。

seoClarityが挙げる「敗者」

seoClarityが、6万のキーワードをビフォアー & アフターで比較したレポート(PDFフォーマット)を提供している。同サイトが敗者として挙げたサイトを以下に掲載する:

  1. TheFind.com
  2. BizRate.com
  3. ShopWiki.com
  4. EzineArticles.com
  5. HubPages.com
  6. Buzzillions.com
  7. Shopping.com
  8. Suite101.com
  9. Kaboodle.com
  10. AssociatedContent.com

勝者(やはりeHowも)

seoClarityは最も得をしたサイトも挙げている。以下にトップ 10を上げていく:

  1. Amazon.com
  2. eHow.com
  3. NexTag.com
  4. Wikipedia.com
  5. Walmart.com
  6. Target.com
  7. Etsy.com
  8. Answers.Yahoo.com
  9. Sears.com
  10. bestonlinecoupons.com

BNET、Competeのトラフィックスタッツを入手

BNETはCompete(コンピート)と協力し、各種の選ばれたサイトのビフォアー & アフターのトラフィックデータを手に入れた。以下に概要を掲載する:

  • eHow: トラフィックの増減はほとんどない
  • Livestrong.com: 減少した
  • Answerbag.com: 減少した
  • Trails.com: 減少が続いた
  • Examiner.com: 減少が続いた
  • Helium.com: 大きく減少した

WSJ、コメントを得る

アルゴリズムの変更によりダメージを受けたとして、リストに載ってしまったサイトの見解を知りたいだろうか?ウォール・ストリート・ジャーナルはコメント集めた親切な記事を投稿している。WiseGeekのようにトラフィックの減少を認めたサイトもある。一方、アソシエイティド・コンテンツのように、グーグルからではなく直接記事にトラフィックを集める取り組みに焦点を絞っていると答えたサイトもある。また、グーグルはユーチューブが得をしたなら、それは“偶然の産物”だとコメントしている。

今後も増え続けるデータ

間違いなく、データセットや調査が今後も行われていくだろう。今後もデータが入り次第、ここに追加していくつもりであり、このページには情報センターのような役割を持たせる(Quoraも同様の取り組みを行っている)。また、さらに分析が行われることを期待している — 分析を行ったらコメント欄で知らせてもらいたい。

ファーマーアップデートに関する詳細は以下の投稿を参考にしてもらいたい:

また、3月8-10日にサンホセでサーチ・エンジン・ランドが主催するSMX ウエスト 検索マーケティングカンファレンスのことも忘れてもらいたくない。私たちは今回のアップデートおよび前回のアップデートに関するセッションを数多く提供する予定だ。以下にその一部を上げていく:

このエントリには上記の全てのセッションの詳細が掲載されている: Googleの“ファーマーアップデート”Search Engine LandのSMXウエストカンファレンスで検証

冒頭のイメージはフリッカーでクリエイティブ・コモンズのライセンスの下、IMLS DCCから借用した。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Number Crunchers: Who Lost In Google’s “Farmer” Algorithm Change?」を翻訳した内容です。

しかし皆さん動きが早いですね。もちろん調査方法などで差はあるのでしょうが、共通してアソシエイティド・コンテンツはかなり被害を受けたようですね。ご存じの方も多いでしょうが、アソシエイティド・コンテンツって最近Yahoo!が買収したコンテンツファームです。これは作為的じゃなくて何をいう?という感じですが。。。今回の件は次回のSMX Westでも話題の中心になりそうですね。久々に参加してきますのでライブレポートしたいと思います! — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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