「SEOは終わった」説が妄想に過ぎない理由

公開日:2011/01/19

最終更新日:2024/02/17

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SEO by the SeaからSEOに関するシリーズ記事を。SEOはもう必要ない、SEOは終わった、という話が海外でもよく出るようになった最近ですが、検索エンジンのアルゴリズム進化を元に逆に反論する内容になっています。 — SEO Japan

「SEOは終わった」と言う見出しが、ここ数年、ブログのエントリやニュースの記事に用いられている。

ソーシャルメディア・オプティマイゼーション(またはソーシャルメディア・マーケティング)によって、SEOは失脚したと宣言した人もいる。または、パーソナライズド検索、グーグル・インスタント、ユニバーサル検索、グーグル・カフェイン、その他のアップデートが検索の状況を大きく変え、SEOの価値がなくなったと言い切る人もいる。

私は今年の年明けに、良質なSEOと言うエントリを投稿して、「SEOは終わった」と主張するエントリに対するリアクションを起こした。私が反論したエントリの作者は、SEOを用いなくても、素晴らしいコンテンツを作成し、標準ベースのHTMLを利用し、そして、コンテンツを友達と分かち合えば、検索エンジンに上位に格付けしてもらえるのではないかと疑問を呈していた。

SEOは終わっていない。しかし、検索する側、検索エンジン、そして、ウェブ自体が進化するように、SEOも常に進化しているのだ。

今年、私はSEOが変化したことを示唆する特許およびホワイトペーパーに関するエントリを多数投稿した。そこで今回は、私が既に確認し、まとめたエントリの一部をおさらいしてみようと思う。

当然ながら、ここ1年で私が取り上げていないSEOの変化に関する話題はたくさんある。しかし、この機会を用いて、私が考えてきた事柄を指摘していきたい。

この1本目のエントリでは、2010年にグーグルに付与された特許「リーゾナブルサーファー、そして、セマンティックの距離」で描かれていた複数のコンセンプトに焦点を絞るつもりだ。

リンクおよびリーゾナブルサーファー

初期のページランクの論文は、あるサイトから別のサイトへのリンクが、リンクを向けられたページのランキングに影響を与える仕組みを説明している。このような論文のなかでは、ページから別のページに向けられたリンクは、向けられたページに対して、すべて同じ価値(ページランク)を持つという臆測が存在していた。

検索エンジンの代表者の見解をひも解くと、少なくとも数年間においては、この憶測が正しくなかったことが分かる。2008年にYahoo!のPriyank Garg氏へのインタビューで、すべてのリンクが同じ価値を持っているわけではないことが判明した:

ページの一番下の無関係なリンクは、ユーザーにとっては役に立つわけではなく、ユーザーエクスペリエンスの質の改善に貢献しないため、ランキングにおいてはこのようなリンクの価値を認めていない。

そして、2009に投稿したページランク・スカルプティングに関するエントリの中で、グーグルのマット・カッツ氏は、リンクの価値、そして、グーグルがその価値を計算する仕組みについて、非常に興味深い注記を加えていた:

注記: 私が2000年にグーグルに入社した時点でさえ、昔のページランクの論文で描かれていたリンクの計算よりも洗練された手法を検索エンジンは用いていた。グーグルがリンク分析において革新をやめたと思っているなら、その思い込みは間違っていると言っておこう。

この価値を今でもページランクと呼んでいるが、リンクに基づいて評価を計算するグーグルの能力は、ここ数年で大きく進化してきた。とりあえずは「クラシックなページランク」の枠組みでエントリの残りを綴るが、完璧な例えではない点を肝に銘じておいてもらいたい。

今年の5月、私がエントリで取り上げるグーグルの特許を探している際、リンク自体の特徴、リンクが表示されるページ、そして、リンクが向けられているページの組み合わせに基づいて、リンクがもたらす価値を計算するための枠組みを説明する特許を見つけた。

特許「ユーザーの行動または特徴のデータに基づく文書の格付け」が申請されたは2004年だが、初期のページランクのリンクについて考えると、大きく進化していることが良く分かる。

初期のページランク論文で描かれていた「ランダムサーファー」は、ページ上のリンクを適当に選んだり、または、ページに飽きて、全く異なるページに向かうユーザーを意味する。

しかし、この特許で描かれている「リーゾナブルサーファー」は異なるアプローチを取り、ページでリンクが表示されている場所、リンク内のアンカーテキストが表示されるページとどれぐらい関連しているか、アンカーテキストがどれぐらい営利を意識しているか、リンクでどのような色やフォントのサイズが使われているのか等に注目する。

私はこれらの特徴について、「Googleのリーゾナブルサーファー: リンク、文書の特徴、ユーザーのデータに基づいて、リンクの価値が異なる仕組み」の中で詳しく説明している。

SEO業界の大半の人々は、この特許が認可される以前に、すべてのリンクが同じように生成されているわけではない点を何となく感じ取っていたが、リーゾナブルサーファーの前は、リンクが状況に応じて異なる扱いを受ける仕組みを説明する優れた枠組みを持っていなかった。リーゾナブルサーファーの特許が付与されたのは、申請されてから6年後のことだ。

リーゾナブルサーファーのモデルもまたさらに進化している可能性が高い。

キーワードの近さ、および、センマンティックの近さ

多くのSEOの検査およびサイトのレビューを見ると、「特定のフレーズに対して最適化を行う際は、フレーズ内の単語の距離が近ければ近いほど、検索エンジンはこのフレーズに対してそれだけ関連性が高いと考える」と言うアドバイスを目にすることがある。

理に適っているように思える。

例えば、「ice cream」と言うフレーズで上位にランクインしたいとするなら、:

「I went to the store to buy ice cream」(店に行ってアイスを買った)

は次の文よりも関連性が高いことになる:

「I went to the store to buy cream, and slipped on the ice」(店に行ってアイスを買った、そして、アイス(氷)の上で滑った)

5月、私は先日グーグルに付与された別の特許について、「Google、セマンティックの近さをランキングシグナルとして定義」を投稿した。この特許は、“近さ”のコンセプトに関してさらに誤解を与えている。

情報がページで掲載される方法は、検索エンジンが把握する2つの単語の近さに影響を与える可能性がある。

例えば、以下のイメージに掲載されているように、順序の関係ないリスト要素<ul>と「Saturn Facts」と言う見出しを持つリストを私は持っている。これは、惑星の軌道周期、回る速度、質量、容積、そして、太陽からの距離を説明している:

The HTML list from above showing that Saturn and Distance are semantically closer than Days and rotation.

このリスト自体はセマンティックな構造と考えられるものの、リストアップされたアイテムはすべてタイトルに対して同じ重要度を持つ。

最後から2番目の「容積」でさえ、この特許では、リストの2番目にでてくる「Rotation」と「Saturn」と言う単語とのセマンティックな意味では同等と見られることになる。繰り返すが、これはリストの各アイテムがタイトルから同じ距離にあると見なされるためだ。

リストのようなセマンティック構造の利用は、近さと言うコンセンプト、そして、2つの単語の近さが、特定のフレーズに対する関連性の高さを示唆すると言う考えを混乱させている。

繰り返すが、SEOは進化している。

乞うご期待…


この記事は、SEO by the Seaに掲載された「SEO is Undead 1 (Links and Keyword Proximity)」を翻訳した内容です。

なんというか、検索エンジンのアルゴリズムが進化し続けていることを説明している内容になっていますが、ようするに、アルゴリズムがここまで進化している以上、それに対応していくSEOもより求められていく、ということなのですかね。それはそれでそうだと思います。よく「良いコンテンツを作ればSEOをする必要がない」という人がいますが、そういう人は「良い映画(音楽、本、ゲーム、なんでも、、、)を作れば宣伝しなくとも自然と人気が出る、宣伝は必要ない」と思っているのでしょうか。それはそれで、幸せな考え方だとは思いますが。他には一般的な広告やリスティングは認めていてもSEOだけ否定する人もいますが、論理的な理由は余り聞いたことがなかったりもします。と、SEO業者の愚痴はさておき、良いコンテンツを作ればそれを最大限SEO(&他の手法)を使ってPRしたいと思うのは自然なことだと思いますけどね! — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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