SEO事業者選びのポイント

公開日:2010/7/30
執筆者:世良 裕之

 近年では、SEOに関する知識の多くは、書籍やインターネット上から得ることができるため、自社でSEOを行うところも少なくありません。
 しかし、SEOに関する知識を持つスタッフが社内にいない場合や、現状よりもより高い効果を求める場合など、SEO事者者の利用を検討するケースもあるでしょう。そこで、どのようなSEO事業者を選ぶべきなのかは、SEOを行う目的や、予算、社内体制などによって変わってきます。

 インプレス R&D社刊「SEO/SEM事業者比較調査報告書2010」の執筆に携わった関係、昨年の秋から日本の主要なSEO・SEM事業者を20社程、取材を行う機会がありましたので、その取材を元に、今回は、このSEO事業者選びのポイントについて、まとめて見たいと思います。

SEO事業者の分類

 一口にSEO事業者と言っても、個人で行っている「自称SEO事業者」のような人から、上場まで行っている大手SEO事業者まで、様々な事業者が存在します。これらSEO事業者を大きく分類すると以下の3グループに分類することができます。

SEO専業事業者

 SEO以外のサービス提供のない、SEO専門の事業者。最近では業者間の価格競争が厳しく、費用は低めであり、成果報酬型の料金体系が多い。「SEO=上位表示」というスタンスで外部リンク提供によるサービスを中心に行うところが多い。

サイト制作会社

 Webサイトの制作を本業としていたところが、SEOサービスも取り扱うようになった事業者。コンテンツの制作による被リンク構築など、マーケティング的な観点からWeb戦略のトータルプロデュースの1つとしてSEOを行う大手事業者から、SEOのサービス提供は名ばかりで他のSEO事業者に外注を出しているところも多い。

インターネット広告代理店

 Yahoo!リスティング広告・Google AdWordsの代理店としてサービス提供を行う事業者。電通・博報堂などと関係の深いSEO事業者をはじめ、大手SEO事業者はすべてインターネット広告代理店として展開を行っている。

 事業形態による分類だけでなく、コンサルタント型なのか施策内容の実装を行ってくれる型なのかということもありますが、どのグループが良いかはSEO事業者を利用する目的によって異なります。

SEO事業者の費用

 費用について一般的には、
「SEO専業事業者<サイト制作会社<インターネット広告代理店」となっています。
 近年、SEO専業事業者をはじめ大手SEO事業者においても成果報酬型の料金体系が用意されているところが多くなっており、上位表示された場合のみ料金が発生するというわかりやすい料金体系ではありますが注意すべき点も多い料金体系です。

 まず上位表示確保の定義がどのようになっているのか?
SEO事業者によっては、単なる上位表示ではなく順位ごとに細かく料金設定されているところもあります。Googleのパーソナラライズド検索などのように、検索を行う環境によって検索結果が異なる現在、どのような環境においての検索結果によって料金が確定するのか事前に明確にしておきましょう。
 また、成果報酬型のSEO事業者の多くは、所有するサテライトサイトなどからの外部リンク付与による手法をとるところが多いため、一度上がった順位を維持するためには、永遠にSEO事業者と付き合わなければいけなくなります。
 そして、人為的な被リンク構築は、検索エンジン側のアルゴリズムの変更やフィルタなどの導入により、急激な順位下落が起こるリスクあることも理解しておく必要があります。急激な順位下落時のSEO事業者の対応も確認しておきましょう。

外部対策の施策に対するポリシー

 SEOに対するポリシーというよりも、特に外部対策の施策に対するポリシーはしっかりと聞いておきたいところです。
 キーワードによっては競合サイトの状況により、リンク資源が必要となるケースもあるはずです。
 自社もしくは外注によるリンク構築だけでなく、トラックバックスパムや掲示板への自動書き込みなどを行うSEO事業者もあります。リンク元の開示は、多くのSEO事業者では原則的に行っていませんので、後で自社で調べてみたら、とんでもないところからリンクされていたなどということがないよう、事前にしっかりと確認しておきましょう。

 また、外部リンク元についてはSEO事業者自ら所有するサイトからだけでなく、外注によって確保しているところも多いのですが、内部施策も含めすべてのSEOを外注によって受注しているSEO事業者も以外と多くあります(大手SEO事業者にもインターネット広告を事業のメインにし、SEOを外注にしているところがあります)。
 当然、自社でSEOにおける施策を行っていないのですから、SEOに対するポリシーは外注先次第となります。外注で行っているかどうかを白状するSEO事業者はいないでしょうから、これらの事業者を見分けるためにも、しっかりとポリシーを聞いておきましょう。

レポートのサンプルをもらう

 多くのSEO事業者では、最低でも月に1度はクライアント向けにレポートを提出しています。順位変動や競合サイトの調査、今後の施策内容のアドバイスなど、SEO事業者ごとに異なります。
このレポートのサンプルの提出をできる限りお願いしてみましょう。
レポートの内容で、かなりそのSEO事業者のスキルがわかりますので、SEO事業者選びの良い資料になるはずです。

目的に合わせて選ぶ

 SEOを行う目的は検索結果の上位表示ではなく、サイトにユーザーのアクセスを誘導し、いかに成果を上げるかということです。そのためにどのような手法を取るのかによって利用すべきSEO事業者を選びます。

 新しいサイトのコンテンツが充実し、良質な被リンクが集まるまでの期間の利用や、期間限定のキャンペーンサイトなどでの即効性を求めるSEOなど、これら外部リンク対策を目的にSEO事業者を選ぶならば、外部リンク対策に強い「SEO専業事業者」の利用も良いかもしれません。

 ある程度の時間をかけ、コンテンツを作り上げ、良質のリンクを集めたいと考えるならば「サイト制作会社」として評判が良いところが良いでしょう。

 また、リスティング広告を併用したSEOを考えるならば、当然「インターネット広告代理店」を利用することとなるでしょう。

まとめ

 SEOを行う目的にあわせSEO事業者を選別し、そのSEO事業者のSEOに対するポリシーなどから、どのような姿勢でSEOを行っているのかを見極めます。そのためには、検索エンジンスパムとなるような手法を行っていないか、質の悪いリンクによる外部施策が行われていないかなどの質問ができるよう、最低限のSEOに関する知識を身につけておくようにしましょう。


 先日、「Yahoo!JAPAN がGoogle検索エンジンを採用」という大きなニュースが流れました。SEO業界では多くの人が喜んだのでしょうが、これまで、Yahoo!検索の脆弱な検索アルゴリズム技術からスパム的な手法を使ってきたSEO事業者にとっては痛いニュースだったかもしれません。
 しかし、これを機にそのようなSEO事業者が減ることは、SEO業界にとっては良いことでしょう。

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