有料リンクの良い点、悪い点、卑劣な点

最終更新日:2024/03/22

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オンライン・マーケティングは複雑

オンライン・マーケティング(特にSEO分野)におけるアドバイスは、柔軟性があればあるほどそのアドバイスの価値は高まる。それが私の信念だ。一般ユーザー向けのアドバイスの場合は、尚更その傾向が強い。オンライン・マーケティングは、心理学、社会学、そして、ゲーム理論等に基づいているためだ。人間の心は複雑だ。そのため、大勢の心が惹かれあう(もしくは相いれない)仕組みを理解することは、至難の業である。

マーケットを勝ち取る方法は無数にある。そして、それぞれのアイデアがマーケットおよびプロジェクトごとの潜在的なリスクと見返りを含んでいる。

2003年のリンク構築

人々は有料リンクの購入に関して感情的になり、論外だと断罪する。私がSEOを仕事して始めた頃、大半のSEOのエキスパートはリンク構築を実施していたため、スパマーだと考えられていた。その理由は以下の通りだ。

  • 驚くほど効果があるため。
  • 時間とお金がかかる作業であり、既に地位を確立していたSEOのエキスパートはクライアントのためにこの作業を行うのを渋っていたため。

それ以降、ウェブグラフは大幅に汚染され、有料リンクは過去のリンク構築の取り組みに対する視点と同じ視点で見られるようになった。

万人受けするSEOのアドバイスはない

先日、SEOmozのランド氏が、これからは有料リンクを推奨しないと宣誓していた。しかし、有料リンクの購入を受け入れられないのなら、リンクデータのウェブグラフを作るために多額の資金を投資することなど出来るのだろうか?有料リンクの購入を選択肢から外しているなら、リンクのデータを調べることに何の意味があるのだろうか?複製することが出来る競争の激しいリンクの多くは、ある程度の出費を要する。

有料リンクの購入は、万人に受け入れられることはないが、ビジネスにとっては意味のある取り組みである。リンクを購入するつもりがないなら、リンクのリサーチツールは何の役にも立たないはずだ。

有料リンクの購入における潜在的なリスク & ROIはケースバイケースで異なる。有料リンクの購入が選択肢に入っていないと言うことは、キーワードのリサーチも選択肢に入っていないことになる。テッククランチのような巨大なサイトを運営しているなら、キーワードをリサーチする必要はないが、いずれにせよ、考慮するだけなら特に問題はない。

曖昧な状態で待っていると大損する

例えば、皆さんが新しいプロジェクトを始めようとしており、マーケット・モーメンタム(市場の勢い)がゼロだと仮定しよう。成功を収めたウェブマスターも必ず一度はこのような状況に置かれたことがあるはずだ。有料リンクを幾つか購入することで発生するリスクに、この時点で怯える必要はない。いつかはスタートを切らなければならないのだ。昨年新しいウェブサイトを開設した人の大半は、翌年の年末にはすっかり活気を失っているだろう。新人のウェブマスターにとって最も大きなオンライン上のリスクは、曖昧な状態で運営を続けてしまうことだ

曖昧な状態だと、次の点が達成されない…

  • ブランドおよびモーメンタム(勢い)の構築
  • キャッシュフローの構築
  • カスタマー・ロイヤルティの構築
  • コンバージョンフローの最適化
  • ビジネスを成長させるために再投資を行っている有力な競合を追走

いずれにせよ、プッシュマーケティングを実施し、モーメンタムを築かなければならない。プルマーケティングにより、最終的には顧客を引っ張りこむことが出来るかもしれないが、実際にメリットを享受することが出来るのは、ある程度の認知度とマーケットモーメンタムを築いた後の話である。

2年前に開催されたPubconカンファレンスでは、スティーブン・スペンサー氏が今日購入した有料リンクのために5年後罰を受けることになるかもしれないと話していた。一方私は、私がSEOビジネスを始めてから5年経過していないが、当時有料リンクを1本も買っていなかったら、今、こうして講演することはなかっただろうと話した。また、5年後に罰を受けるようなら、そのビジネスは未熟だったと言わざるを得ないと付け加えておいた。

ブランド

しかし、既に地位を確立したブランドであっても、限定的に有料リンクを購入する取り組みは十分に理に叶っている。「ブランドは汚れた状態を正常な状態に戻す仕組み」であり、数本の有料リンクを購入してもリスクはあまりない。

(企業のクライアントを引き込むため)安全なオプションを好むように見せかけるSEOのコンサルタントの中には、有料リンクの購入は薦められないと主張することで、自分達が健全に映ると思っている業者もいるようだが、フォーチュン500に載る企業と働いた経験がある専門家なら知っていると思うが、役員室に入ると、最も重要視されるのは効率性である。

とは言ったものの、私たち自身、現状を踏まえた上でスパム化およびリスクを避ける形で全体的な戦略にアプローチすることをクライアントに薦めた例は豊富にある。

ディープリンク

有料リンクを購入しないなら、アンカーテキストに影響を及ぼすことは難しい。とりわけ、企業レベルでSEOを実施し、商業的なページにディープリンクを導入したい場合は尚更だ。企業はオーガニックなSEOに毎年大金を投資ししている。なぜなら、グーグルで少しランクが上がると、同じように大金が転がり込むからだ。もし、検索結果5位に「x」の価値があるとするなら、検索結果1位は8 x 「x」の価値があると言える。

ツールはツール

私は誰もが有料リンクを買うべきだと主張しているのではない。頭から選択肢から外す必要はないと言いたいのだ。有料リンクの購入はあくまでもツールであり、マーケットによって、そして、置かれているポジションによって価値のレベルは異なる。

有料リンクは足掛かり、もしくは、戦略の一部になり得るが、戦略のすべてを有料リンクに頼るべきではない。私が担当したクライアントのプロジェクトの中には、有料リンクの購入もしくは相互リンクからシフトチェンジするよう薦めたプロジェクトもある。なぜなら、戦略を総体化し、まとめる必要性を感じたからだ。このプロジェクトはうまくいっていたため、方針を転換する理由はなかったが、計画を進めて、ブランドのアセットおよびオーディエンスを活用し、別のタイプのリンクを獲得するアイデアは理に叶っていた。

有料リンクの購入が失敗を招くケース

有料リンクの購入がSEO戦略の全てなら、長期的に競争するのは難しい。なぜなら、

  • 獲得しているリンクが全て有料リンクの場合、リスクが高いため
  • 獲得しているリンクの大半が有料リンクにすぎない場合、競合相手に簡単にクローンされてしまうため
  • 大金が動くマーケットに身を置いている場合、競合者は別のアセット(追加の有料リンク)をさらに導入することで対抗してくる可能性があるため

私たちのサイトの場合、有料リンクを少し購入することで露出を増やすことが出来た時代も確かにあったが、爆発的にROIが上がったのは、有料リンクを買ったからではなく、カンファレンスに参加したり、ネットワークを作ったり、人気のあるSEOツールを多数立ち上げたためだ。有料リンクの購入はあくまでも支えの一つにすぎないが、繁盛しているビジネスは通常多数の支えを得ている。

クリエイティブにリンクを購入する

先日、ミントドットコムが1億7,000万ドル(約150億円)でIntuitに買収されたが、皆さんはご存知だろうか?どうやら彼らはクリエイティブにリンクを購入する方法を心得ていたようだ:

需要を作るために、私たちはサービスローンチする前のアルファ期間であった9ヶ月の間、電子メールのアドレスを集めた。そして、サインアップする人がとても多かった頃は、私たちは優先的にアクセスしてもらうため、“ミントが欲しい”と言う小さなバッジをブログに掲載してもらった。私たちは無料で広告を出すことに成功し、600本もの被リンクが転がり込み、SEOの値も上がったのだ。

ミントは優先アクセス権を得るための見返りとしてリンクを要求したのだ。このクリエイティブなリンクの購入手法によって彼らは素晴らしい見返りを得ることが出来たはずだ。ブロガーにも同じことが言えたのではないだろうか。そして、現在、ミントドットコムは爆発的なモーメンタムを獲得し、有料リンクの購入による罰を受けることはなく、今後もお咎めを受けることはないだろう。 😉

有料リンクの購入が理に叶うケースとは

  • 新しくサイトを立ち上げたばかりで、失うものが何もない場合
  • ブランド & リンクの注目度がとても大きく、数本の有料リンクを購入する程度では目立たない場合
  • 上位にランクインしている競合者によってバリヤが形成されているマーケットで、有料リンクの購入が一般的に行われている場合(目には目を、有料リンクには有料リンクを、と言うわけではないが、ポテンシャルが高い有料リンクを幾つか選んで購入する価値はあるはずだ)
  • 狙いを絞ったアンカーテキストと共にディープリンクを幾つか獲得する場合
  • リンクが貴重であり、オーガニックリンクがほとんど存在しないマーケットの場合

Bingから届いたメッセージ

SEO業者はBingに感謝するべきである。ビングの検索チームは、現実的なアドバイスを提供しており、また、私たちを脅かしたりしないからだ:

実は素晴らしいサイトは質の悪いリンクを獲得しています。私たちはこの現象を把握しています。事実、上位にランクインしているサイトは必ずと言っていいほど数本(もしくはそれ以上)の質の悪い被リンクを持っています。質の悪い被リンクが大半のリンクを占めている場合、もしくは全てのリンクが質の悪いサイトからのリンクの場合を除き、質の悪い被リンクを数本持っているだけでペナルティーを与えるようなアプローチは私たちは採用していません。

また次の点にも留意してください。リンクを張っているサイトの評判は悪くても、実際にリンクを張っているページのコンテンツが皆さんのサイトのページに関連している可能性があります。この場合、有力なサイトからのリンクほどとは言えなくとも、素晴らしいリンクである可能性が十分にあり、リンクによるメリットをサイトに少しもたらすかもしれません。

被リンクに関しては、次の点をよく覚えておいてください。被リンクの数がゼロでも、すべての被リンクが質の悪いサイトから張られているサイトよりはマシです。しかし、評判の良いサイトから多くの関連する被リンクを得ているなら、質の悪いリンクが数本あっても、サイトの評判に悪影響を与えることはありません(良い影響を与えることもありません)。

つまり、Bingは全体を見るのであり、質の悪いリンクが数本あってもペナルティーを与えたりはしないのだ。彼らは数本のレベルの低いリンクを持っていることに罰を与えないどころか、持っていて当たり前だと考えている。

まとめ

私ならSEOの目的のために大量の有料リンクを買ったりはしない。しかし、大半のウェブマスターが、ツールセットの中から、この選択肢を除外してしまうのは賢明だと思えない。もし私が2003年および2004年に有料リンクを購入していなかったら、今と同じ規模のオーディエンスを獲得することは出来なかったかもしれない。

サイトを開設したばかりで、予算が限られているなら、クリエイティブに有料リンクの購入を実施するべきである(ミントのように)。しかし、SEOをビジネスの戦略の中核に置いているなら、リンクを数本買うことに怖気づくべきではない。


この記事は、SEO Bookに掲載された「Link Buying: the Good, the Bad, & the Ugly」を翻訳した内容です。

まさにSEO Bookのアーロン・ウォールの本領発揮と言った独自の意見を貫いた記事です。有料リンク問題は最近、日本でも改めて旬な話題になっているだけに、この問題を考える上に参考になる記事だと思います。ちなみにSEO Japanではこの意見に100%賛成です。かつ、ここで言う「クリエイティブなリンク」獲得もSMOから多少グレーエリアの手法まで含め取り組んでいます。過度のスパムリンクは自己基準で控えているつもりですが。しかしBingのポリシーはこの記事で初めて知ったのですが明快で良いですね。Googleは、この辺のスタンスをもう少しクリアにしてほしい気もします。Googleは例えば、Yahoo!ディレクトリは人による掲載内容の承認・否認のプロセスがあるから有料リンクでは無い、と言っていますが、どう考えても有料リンクなんですけど。この辺のダブルスタンダードが有料リンク問題を複雑化させている原因である気もします。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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