auが公式サイトの見直しを始めた

公開日:2009/8/26
執筆者:世良 裕之

最近、とある「代理店の営業担当者」より、モバイルCP(コンテンツプロバイダ)に関する興味ある話が聞けましたので、今回はモバイルネタを少し書きたいと思います。

いまだにモバイルSEOというと、一昔前のPCで行なわれていたスパム手法が多く見られますが、モバイルならばこそのスパム的な手法も多くあります。
その1つに、公式サイトを利用したものがあります。今回は、そのお話です。

公式サイトが有利な理由

公式サイトになると、キャリアのメニューリスト内での掲載や、キャリア課金システムの利用などと多くのメリットがありますが、SEO的にも非常に有利になります。

それは、3キャリアの公式検索エンジン、ドコモ(iメニュー検索サービス)・au(Ezweb検索サービス)・ソフトバンク(Yahoo!ケータイ)では、検索結果は、リスティング広告に挟まれながら、上から「公式サイト」・「一般サイト(勝手サイト)」・「PCサイト」の順に表示され、「公式サイト」は一番上部に表示されるからです。
3キャリア合計でも公式サイトの数は30,000サイト程度ですから、公式サイトとして検索結果に上位表示させることは、さほど難しくありません。

公式サイトになることで、キャリアのメニューリストからだけでなく、検索エンジンからのユーザーの流入も大きく獲得することができるのです。

意外と簡単なau公式サイトへの参入

キャリアの公式サイトとなるためには、企画を申請し承認を受け、その後サイトチェックを受け承認されなければなりません。また、申請は法人でなければならないため、多くの方は公式サイト参入を難しいものと考えているようです。

たしかにドコモは、法人であるだけではなく、法人としての実績なども重要視されるために、公式サイトへのハードルは非常に高くなっています。
しかし、auは法人でさえあれば、かなり楽に承認を取ることができます。
そのため、中小のCPはまずauでの公式サイトとして実績をつけ、それからドコモの公式サイトへと進むところも多いようです。
ネットでも検索してみると、法人向けにau公式サイト参入の代行サービスのようなものが数多く引っかかります。

KDDIに呼び出されたCP

今回、私が話を聞いたCPも小さな会社ですが、auで課金サイトを含め、いくつかの公式サイトを運営している会社でした。
その会社が最近、KDDIから呼び出しを受け、公式CPを剥奪し運営するサイトすべての公式サイト終了通知を言い渡されたというのです。
いったい彼らは何をやっていたのでしょうか?

そこで、問題となったCPのサイトをいろいろと調べてみました。(サイトはまだ存在します)
すると、公式サイトとして承認を受けたサイトのドメイン直下に、大量に他のコンテンツが置かれていたのです。
そうすることで、本来、公式サイトとしての承認を受けていないコンテンツまでも、公式サイトとしてインデックスされ、公式サイトの検索結果に表示させることができるわけです。
特に公式サイトとして認可されないようなカテゴリのキーワードは競合が少ないので、楽に上位表示できるわけです。

もちろんKDDI側も、日々、公式サイトの監視は行なっていますので、これまでにも何度かKDDIからの警告を受けていたそうです。
にもかかわらず改善しなかったということで、このような結果になってしまったのです。
しかも、しっかりと運営を行なっていた課金サイトも含め、そのCPが運営するサイトすべてが公式サイト終了通知を言い渡されるという厳しい処置だったそうです。

他のCPでも見られる手法

私が調べた公式サイトのドメイン直下には、アフィリエイトや広告だけのペラページが大量に置いてあり、かなりひどい手法なのですが、他のauの公式サイトを調べてみても同じようなページは大量に見つけることができます。
auのCPで多くの公式サイトを持っている企業のサイトを、上位から順番に調べていくと、いろいろなアダルト広告も含め、高い利益を生むアフィリエイトなどのページが、いろいろなCPのサイトで見つかります。
また、運営元を調べて見ると、SEO関連の企業などの名前も見えますし、この手法による収益をメインにした企業も多く見つけることができます。

今回、話を聞いた代理店の営業担当者によると、KDDIでは、CP向けに公式サイトの不正サイトの報告フォームを準備し、今後、公式サイトでの不正を行なっているCPを厳しく取り締まっていくとの事です。

実は、今回の手法は、かなり以前からモバイルビジネスで収益を上げている人たちの間では、広く行なわれてきていた手法なのですが、ここまで野放しになっていたことがおかしいのではないかと思います。

他のCPからは、最近、au公式サイトの承認が、以前より難しくなったという話も聞こえてきますので、今後の、auの公式サイトの質がどのように変わっていくのか見守りたいと思います。

公式サイトって必要?不必要?

以前より、auユーザーは公式サイトよりも一般サイトの方が利用率が極めて高いと言われていますが、上記のような手法によるページが公式サイトとして、検索結果に表示されれば当然でしょう。
ユーザーにとって有益でないページを表示する検索結果など、意味がありません。

公式サイトのリンクの扱いなど、いろいろな意味で、公式サイトの存在がモバイル検索の精度がなかなか上がらない原因の1つのような気がしているのですが、どうでしょうか?

個人的には日本でもスマートフォンがもっと流行り、公式サイトなんかなくなればいいのにと思っているのですが、そうもいかないでしょうね。
公式サイトはキャリアにとっても大きな収入源ですしね。。。

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