「ページビューに頼らないWebメディアを作る」――R25.jp刷新の狙い口コミを信頼できる情報に変える(1/2 ページ)

「R25.jp」は、読者から投稿を募り、それを記事にして公開する“対話型のメディア”に生まれ変わった。その根底には「何度もサイトに来てくれるコアな読者を増やし、ページビューに依存しない新たな広告価値を作り出す」という新たなメディアの方向性が見え隠れしている。

» 2008年12月01日 08時30分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 フリーペーパー「R25」と連動する情報サイト「R25.jp」が11月17日にリニューアルした。読者が不思議に思うテーマを投稿し、編集部が企画として記事にする、いわゆる“対話型”のメディアに生まれ変わった。

 R25.jpは1月10日にも刷新している。Flashを活用したコンテンツを豊富に取り入れ、エンターテインメント色を前面に打ち出したWebサイトだったが、1年足らずで内容やサイトのデザインを大幅に変えた。その根底には、ページビューやユニークユーザー数に依存しない広告モデルを作ろうとする狙いがあった。

口コミを信頼感のある情報に変える

 1月の刷新では、R25に掲載した記事のほぼすべてを再掲載し、あらゆる記事を閲覧できるアーカイブサイトとしての機能を強化した。R25を読み逃した読者が記事を読みにサイトを訪れるなど、一定の読者の獲得に成功した。

藤井大輔編集長 「わざわざWebサイトに記事を読みに来てもらうのだから、本紙にはない楽しさを伝えたかった」と藤井大輔編集長

 次の課題は、Webサイトをあまり見ない読者をR25.jpに呼び込むことだった。20〜34歳の男性(M1)に焦点を当てた情報を提供したR25は、将来に対する漠然とした不安による貯蓄志向から消費行動を起こしにくく、企業がこれまで訴求できなかったこの層の新たな広告市場を作り出した。この強みをR25.jpに生かすにはどうすればいいかを考えた。

 SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、会員限定サイト……。R25.jpのリニューアルにあたり、Webの特性である対話性を重視したメディア作りを模索した。その中で浮かび上がってきたのは、読者が疑問に思うことを投稿し、それを基に編集部が取材を重ね、記事としてR25.jpに公開する方法だった。

 「(R25の取材力や編集力で)口コミを信頼のある情報に作り上げる。それが今までにない広告価値を生み出す」。R25.jpを運営するリクルートR25事業部の藤井大輔編集長はリニューアルの狙いをこう振り返る。

読者の疑問を編集部が調査

読者参加型に生まれ変わったR25.jp 読者参加型に生まれ変わったR25.jp(出典:リクルート)

 刷新したR25.jpでは、「ライフ&マネー」「IT・デジタル」「ビジネス」「カルチャー」「息抜き」「お出かけ」「エコ&テクノロジー」という7つのカテゴリーを用意し、それぞれに複数のテーマを設定する。読者がそのテーマに関連する疑問を専用のフォームから投稿すると、編集部がR25に見合うテーマを選び、記事にして公開する。

 テーマは「貯金と投資のどちらが特か」「メールと電話、連絡はどちらがいいか」といった身近なものを幅広く用意する。「ビジネスモデルとは何? みたいな素朴だけど答えられないテーマが記事になる」。藤井氏は読者のちょっとした疑問がR25.jpを支える企画のタネになると明かす。

 「知る」と「分かる」をコンセプトにした2種類の記事を用意する。1ページ目はテーマの知識を拡充できるレビュー記事、2ページ目には知識の理解を促す深掘り記事を置く。R25の本紙では伝えきれない情報を盛り込み、R25.jp独自の記事を「6〜7割掲載する」(藤井氏)。

 テーマは3月末までに20〜30程度を公開する。R25本誌への再掲載や、専用のラジオ番組での活用も視野に入れている。紙をめくる感覚でR25の記事が読めるFlashのコンテンツ「まるごとアーカイブ」も用意した。R25を軸に、Webやモバイル、4マス媒体などを有効に使い、クロスメディア展開を図る。

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