動画配信と2次市場

2次・3次利用で稼ぐコンテンツの典型的な例が映画ソフト市場である。映画ソフトはまず、1次流通市場として劇場(スクリーン)で上映され、興行収入が入る。次に2次利用市場として動画配信(Netflixなど)がある。さらに、テレビ放送、ビデオ化、CATV、衛星放送などがある。

テレビ、衛星放送、CATVから放送権料、セルビデオ、レンタルビデオからビデオ化権料が入る。さらにディズニーのようなハリウッド映画は海外の需要が多いので、映画ソフトを海外にも販売することによって、膨大な放送権料やビデオ化権料が入るのである。

テレビ放送

こうしたマルチユースで利益を稼ぐコンテンツビジネスを米国内・海外で展開するのに自前の強力な配給チャネルをもつことは、コンテンツ企業にとて重要である。とくに1次流通市場だけでなく、2次・3次利用市場でソフトを売るのに、全国的なテレビ放送ネットワークは大きな力を発揮する。

利益を稼ぐコンテンツとは、アニメ、映画、テレビ、ビデオゲームでも1次流通市場だけでなく、2次・3次利用市場でもよく売れるソフトである。このため、ディズニーはソフト制作に際して、徹底的にディテールにこだわり、しかもとことんオリジナリティーを追求した。

コンテンツビジネス

コンテンツビジネスはビジョンビジネスである。そこでは、自分の考えたビジョンやアイデアをあらゆるメディアを使って表現し、そのコンテンツの価値を市場に売り込む「頭脳と体力」が要求される。

優れたビジョンやアイデアには、人、カネ、情報が集まり、新しいビジネスや事業が創り出されていく。「メーキング・オブ・コンテンツビジネス」とは、単にビジョンやアイデアを生み出すだけでなく、それらをビジネス化するまでを言う。

ハリウッドのプリセール市場と資金調達

米国のメディアソフト産業の強さは、魅力ある独創的なコンテンツを制作するだけでなく、それをビジネス構築していく仕組み・環境作りにも創造性を発揮することである。例えば、ハリウッドの映画・映像ソフト産業は資金調達のためにプリセール市場を開拓したり、リスクをヘッジするさまざまなリスクファイナンスを考案した。こうしたアイデアは、コンテンツを生み出すアイデアに決して劣るものではない。