STOP PageRank! ~ Google PageRankを信用してはいけない6つの理由

公開日:2008/10/15
執筆者:鈴木 謙一

先月末に、通常よりも短いスパンでGoogleツールバーのPageRank(以下、TBPR)が更新されました。

その後、元の数字に戻るロールバックを疑うような現象が見られました。

また、数日前からは小規模なアップデートが発生しているようで、WebmasterWorldでも報告が相次いでいます。

日本のSEO関連ブログでも、同じようにTBPRのアップデートの情報が散見されます。

個人的には、TBPRのアップデートはだいたい3ヶ月周期で実行されるので、今回の変動はDC(データセンター)間の同期がうまくいってなかったなどのGoogleの不具合によるものではないかと、思っています。

事の真相は、Googleが発表しない限り、部外者の僕たちには知る由もないのでディスカッションは避けます。

このエントリで伝えたいのは、「PageRankを信用するな」ということです。

といっても、僕の持論ではなくVanessa Foxのブログ記事からの参照です。
※Vanessa Foxさんは、元Googleの社員でGoogle Webmaster CentralチームでGoogleウェブマスターツールの開発に従事していました。

Vanessa Foxのこの記事は、Steve Rubelの『Page Rank is the Ultimate Measure of Online Influence(PageRankはオンラインの影響力を知る究極の手段だ)』への反論として書かれました。

Googleの内部で働いていただけあって、非常に有益な内容になっています。
Googleの言っていることがすべて真実とは限りませんが、TBPRについてはVanessa Foxの言っていることは正しいと思います。

要約しながら補足も交えて、解説します。

PageRankとは

そもそもPageRankには、2種類あります。

1つはGoogleツールバーで表示されるPageRank(ToolBar PageRank:TBPR)。
こちらは、0~10の整数値で示されます。
(注:Vanessa Foxは”1 through 10″と書いてますが、正確には”0″から始まるはずです)

もう1つは、Googleが内部で使っているPageRankで、“Real PageRank”とも呼ばれます。
こちらは小数点の値で示されます。
内部PageRankは、ランキングを決める要素として利用されるものの、数百ある要素のうちのほんの1つにしか過ぎず、それだけで決定的な影響を与えるものではありません。

Vanessa Foxが、信用してはいけないと言っているのは、内部でしか見れないReal PageRankのことではなく、外部(=ツールバー)で見ることができるTBPRのことです。
(もっとも、Real PageRankの影響力も決して大きいものではありませんが)

簡単に言うと、PageRankは、内部のPageRankであってもTBPRであっても、「リンクポピュラリティ(被リンクの数)で計測される指標」です。

どのくらいの数の被リンクを集めていて、その被リンクのうちどのくらいがオーソリティ(権威)のあるサイトからなのかが問題になります。

なぜPageRankは重要でないのか

1.更新が頻繁でない
TBPRはたいていの場合、だいたい3カ月おきに更新されます。
Real PageRankが継続的に更新されているのに対して、今あなたが見ているツールバーのPageRankは、古いデータということになります。
これはよく知られた事実です。
TBPRが5でも、今の時点では7かもしれないし、2かもしれません。

2.正確ではない
TBPRは0~10の整数値ですが、内部のPageRankはもっと細かい少数値で表されます。
TBPRが同じ3でも、実際には等しくないわけです。

3.簡単に策略される
自作自演だったり、相互リンクだったり、リンク購入だったり、作為的にリンクを集めることができます。
Googleの不自然なリンクを排除する技術は進歩してますが、こういった手法はいまだに有効です。

4.リンク構築精通者の強み
SEOに精通したウェブマスターは、リンクの構築方法をよく知っています。
リンクがあるからといって、コンテンツが優れているとは限りません。

5.ツールバーの数字は不明瞭
Googleは、サイト運営者のためにできる限り情報公開してますが、一方でスパマーに検索結果を左右されないように情報を与えすぎないようにもしています。
また、広告だと明示しないでリンクを販売するサイト、特に高PageRankを“ウリ”にしてリンクを売るサイトは、ガイドラインに反したペナルティとして、見えるPageRank(=TBPR)を下げられます。
つまり、僕たちが知ることができるPageRankの情報は、すべてではないし、あやふやだということです。

6.PageRankは必ずしもランキングと関連性はない
これも、よく知られた事実です。
本家Sphinnでピックアップされた、直近のPageRankアップデートの記事に対して、GoogleのMatt Cuttsは次のようにコメントしています。
“高いPageRankが表示されなかったとしても、グーグルはランキングを決めるのに、依然として200以上の他の指標を利用している。低いPageRankのサイトが、それより高いPageRankのサイトよりも上位に表示されるのは、実によくあることだ。これは、PageRankにこだわりすぎていて、サーチエンジンがウェブページをランク付けするのに使うかもしれないその他の要素に焦点を当てない人たちを、混乱させる傾向にある。”

PageRankに固執しない

Vanessa Foxは、この後Steve Rubelが記事に書いた個々の主張に対して反対意見を述べていますが、PageRankの仕組みに関してはすべて解説したので、ここでは省略します。

PageRankの更新(TBPRの更新)が発生すると、お祭りのように大騒ぎになります。
これは日本もアメリカも変わりません。
僕も個人運営の海外SEO情報ブログでは、PageRank更新のニュースは必ず取り上げます。

でも、PageRankを執拗に追い求めることは危険です。

特に、SEO業者にコンサルティングを依頼するときは注意しましょう。

PageRankの大切さを必要以上に強調したり、自社のサイトやクライアントのサイトのPageRankを自慢するような業者には要注意です。

もはや、TBPRはGoogleが提供するエンターテイメント的な意味合いが大きくなっています。

先日、ブログエディタの1人であるアルゴリズム社の石崎さんとお会いしたときに、「“見栄”と分かっていても、SEOブログには高いPageRankが欲しいですよねぇ。」なんて、笑い話をしたばかりです。

ツールバーのPageRank、TBPRは遊び道具として利用しましょう。

この記事が良かったと思ったらSphinn Japanへ投稿/投票お願いします。

この記事へのコメント

コメントはまだありません »
Leave a comment