コンバージョン率最適化を左右する3種の心理

最終更新日:2024/02/20

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コンバージョン率を改善する上でのアドバイスを米国の天才ウェブマーケッターが自身の経験から心理学的に3つのポイントに落とし込んでまとめた記事を。どれも読んで納得できつつ、改めて日々の自分の考え方や行動を考えさせられる内容に仕上がっています。 — SEO Japan

conversion optimization

トラフィックの獲得に費やすコストは、増加の一途をたどっている。有料広告、コンテンツマーケティング、そして、SEO… トラフィックを増やすために時間を割いているはずだ。時間を割く、イコール、資金を投じていることになる。

トラフィックの獲得を黒字にしたいなら、ビジターをカスタマーにコンバートする方法を理解しなければならない。コンバージョン率を高める方法が分かれば、マーケティングに費やすことが可能な資金が増え、その結果、競合者に勝つ上で必要な推進力を得られる。

ただし、闇雲にコンバージョンの最適化に着手する前に、知っておいてもらいたいポイントが3つある:

レッスン #1: 抵抗がコンバージョンの最大の敵

コンバージョンを増やす取り組みの最大の要素は、抵抗の軽減である。しかし、A/Bテストばかりに注目し、マーケッター達は、抵抗を軽視してしまいがちである。

コンバージョンを邪魔するものは全て抵抗に該当する。コンバージョンのエキスパートは、必ず「抵抗を軽減せよ」と指示する。しかし、実際に何をすればいいのだろうか?抵抗を軽減するためには、まずは、抵抗が何かを理解し、抵抗を除去する取り組みに着手する必要がある。

コンバージョンのエキスパート、ピープ・ラジャ氏は、抵抗を「与えられたものに対する心理的な反発」と位置づけている。残念ながら、この抵抗は「販売において必ず起きる現象」である。抵抗は、販売プロセスのあらゆる段階で起きる可能性があり、と言うよりも確実に起きる — 人間の心理は際限なく複雑であり、非常に多様性に富んでいるためだ。抵抗の多くは、内部/心理に基づいているため、サイトのどこで起きるのかを特定するのは、容易ではない。

以下に抵抗を分類する方法、そして、サイトで抵抗が起きる可能性がある場所を特定するための問いを挙げていく:

複雑抵抗

この類の抵抗は、必要以上にに状況を複雑化することで発生する。スローガン「KISS – Keep It Simple Stupid」(シンプルにしておけ、愚か者)を常に肝に銘じておこう。コンバージョンのプロセスが複雑になると、それだけ、抵抗が起きる確率は高くなる。

  • 必要以上に情報を提供しているか?
  • 無関係なトピックや問題を取り上げているか?
  • フォームに不要な項目を用意しているか?
  • ビジターにとって分かりにくい用語やコンセプトがあるか?

情報抵抗

情報を紹介する、もしくは、紹介しないことで、抵抗が生じる可能性がある。次の問いに答え、ページ上の情報を分析してもらいたい。

  • 決定を下す上で十分な情報をユーザーに与えているか?
  • ユーザーが求めている可能性のある詳しい情報を提供しているか?ユーザーが持つ疑問に対する答えを提供しているか?
  • 情報は、論理的にまとめられているか?
  • 情報はスムーズに流れているか?

スタイル抵抗

デザインのスタイルが抵抗を生むこともある。ユーザーの大半が、ウェブサイトの特定のタイプのスタイルに否定的な反応をしているなら、ビジターの好みに合うように、当該のスタイルを変更するべきかもしれない。

  • ビジターの大半は、デザインのスタイルを嫌っている、あるいは、気に入っているか?
  • 十分にスタイルに気を配り、ユーザーを魅了して、抵抗を除外しているか?

時間抵抗

コンバージョン率の最適化を考える際、時間は重要である。 当然だが、ページの読み込み時間だけを考慮すればいいわけではない。ここでは、ユーザーが初めてページを訪問してから、最終的なコンバージョンの地点に到達するまでの時間が焦点となる。

  • ページを閲覧する、読む、または、スクロールするのに時間がかかり過ぎているか?
  • フォームの欄は多過ぎるか?
  • コンバージョンを急がせているか?
  • ファンネルのプロセス内のページ数は、多過ぎるか?あるいは少な過ぎるか?

視覚抵抗

抵抗を生み出す、または、軽減する視覚的な要素は、多種多様である。動画の配置、フォントのカーニング、ボタンの色 — 抵抗に影響を与える視覚的な要素を全て挙げようとすると、きりがない。

  • ヘッドラインとコンテンツに対するテキストのサイズは適切か?
  • コールトゥアクションボタンに適切な色を用いているか?
  • 価格を明確に表示しているか?
  • 背景の色とテキストのバランスが取れ、読みやすいコンテンツを提供しているか?

抵抗の原因を発見する際に特に有効なのが、体験を実際にユーザー(スタディグループ等)に尋ねるアプローチである。どこでユーザーは抵抗を感じたのだろうか?抵抗の多かったポイントを記録し、各種の変更を行い、それぞれをA/Bテストで確認していこう。

レッスン #2: 不安はコンバージョンの多くを頓挫させる

コンバージョン率を最適化するためには、コンバージョンに対する心理的な障害を把握し、この障害を乗り越える方法を理解しなければならない、と私は確信している。

A/Bテスト、コピーの変更、配色の改善、そして、画像の修正の裏側に潜む、複雑に変化する人間特有の認識、そして、心理的な反応をマーケッター達は見過ごしてしまうことが多い。

その一つが、不安だ。不安は、「迫る出来事、あるいは、結果が確かではない事柄に対して生じる、心配、ナーバス、または、気掛かりな感情」である。Eコマースでは、不安を抱えている場合、ユーザーはほとんどコンバートしない。そのため、顧客の不安を取り除く取り組みを実施する必要がある。

Marketing Sherpaが実施した分析結果には、コンバージョンのプロセスに不安が与えるネガティブな影響が如実に現れている:

marketing sherpa

上の公式を理解してもらうため、以下にそれぞれの要素をリストアップしていく:

  • C = コンバートする確率
  • m = ユーザーのモチベーション
  • v = 価値提案の分かりやすさ
  • i = 行動を起こしてもらうための(追加の)インセンティブ
  • f = 存在する抵抗
  • a = 存在する不安

不安が、これほど強い影響力を持つ点に対して、Marketing Sherpaは、「リスクに対して、程度/影響が比例していないこと」を理由に挙げている。そのため、全体的なページのデザインやコンバージョンの要素を考慮する際に、不安の影響を軽視してしまうことが多いのだ。

それでは、不安を大幅に煽るウェブサイトの特徴を幾つか挙げていく:

コンテンツが曖昧

ウェブサイトのコンテンツが、分かりにくい、誤解を招く、あるいは、響きがおかしいなら、大きな不安をユーザーに与えてしまう。人間は、心理的に、新たな体験を安定化する、もしくは、明確化するものを欲する。従って、ウェブサイトのコンテンツが、ユーザーの心理状況に不均衡をもたらすなら、不安を煽ってしまう。ウェブサイトのコピーにおいて、不安を煽ってしまう要素が幾つか存在する:

  • スペルミスがある。文法を誤って利用している。
  • コンテンツの量が少ない。
  • 誤った主張を行う。または、証明されていないスタッツを用いる。
  • 度を超えた推薦広告(通常はプロフィールのストック写真を伴う)を掲載する。
  • 感嘆符の利用が多い。
  • 「信じられない!」、「これはショック!」、「オーマイガッド!」等のとても感情的な表現を用いる。

毎回、Harverd Business Reviewのようなコンテンツを提供する必要はないものの、多少、専門性とバランスをコンテンツにもたらすべきである。

広告、または、広告のような要素が多過ぎる

私達は、毎日、大量の広告を目にしているため、その一部を自然に無視する習慣が染みついている。そのため、何かを売ろうとしている、と考え、ある程度、疑った目で広告を見る傾向がある。マーケッターは、この点を直観的にに理解しなければならない — だからこそ、戦略上の取り組みの多くが、広告に対する認識の偏りを乗り越える点に集中しているのだ。

多数の広告がウェブサイトに掲載されている場合、脳の扁桃体 — 潜在的に警告を発する場所が活性化される。この反応は、軽度の不安をもたらし、その結果、ユーザーは、読んでいる、または、見ているコンテンツを信じられなくなるか、あるいは、ページを去ってしまう。

見慣れない、意外

人間は、慣れ親しんだ環境を求める。同じ人、同じ通勤コース、同じスタイルの服、同じコンピュータのOS、同じ種類の食べ物に引き寄せられる。その一方で、冒険とスリルを求め、常に新たな危険やリスクを探している人達は多い。しかし、このタイプの人達であっても、親しみのなさを感じさせる不安を体験する。単純に、異なる反応が生じるのだ。

馴染みのない、もしくは、意外なものは不安をもたらす。ウェブサイトが、最先端のデザインの手法や独特のアニメーション技術を用いているなら、好奇心をそそる可能性もあるが、コンバージョンの確率を下げる程度の不安を生み出す可能性もある。

実証済みの親しみのあるメソッドが、無難である。

あまりにも多くの情報を求める

ウェブサイトのフォームは、非常に重要度が高い。フォームが、コンバージョンのポイントとなるランディングページは多く、適切なユーザー体験を作り出すため、多くの配慮と労力がフォームの作成に割かれる。しかし、情報を求める項目が多過ぎると、不安を煽ってしまう可能性がある。

とりわけ、インターネットでの情報のやり取りに関しては、プライバシーを重視している人が多い。個人に関する詳細を求めるウェブサイトは、プライバシーを侵害していると見なされる。そのため、欲を出し、多くの情報を求めるよりも、基本的な情報に制限する方が、安全である。

信頼もまた、考慮してもらいたい心理的な要素の一つに挙げられる。不安を取り除く取り組みを行う際は、同時に、信頼感を与える要素を加えるか、あるいは、既存の要素を改善して、信頼を高める取り組みも行うべきである。

レッスン #3: 取り除くものと加えるものは同じぐらい大事

マーケッターの多くが「このウェブサイトを良くするために、何を加える事が出来るだろうか?」と言う疑問を持つ。

この疑問自体に誤りがあると私は思う。

「このウェブサイトを良くするために、何を変更することが出来るだろうか?」と問うべきである。

A/Bテストをマーケッターが多用しなければならない理由がここにある。 マーケッターは変更をテストする必要がある。要素を取り除くことが、最高の変更になるケースもある。削除は、手っ取り早くサイトを改善するメリットを持つ。単純に何らかのアイテムを削除するだけで(大量のアイテムを削除しなければならない時もある)、コンバージョン率を改善することが可能である。

以下に、コンバージョンの障害となっている可能性がある要素を幾つか挙げていく:

  • 画像 — 不要な画像は、コンバージョンを妨げてしまうことがある。 画像は、画質、スタイル、あるいは、主題に関わらず、ウェブページを改善すると言う考えが定着している。しかし、実際には、必ずしもこの考えが正しいとは限らない。そのため、画像ありバージョンと画像なしバージョンをA/Bテストして、影響を確認することを薦める。
  • 動画 — 私は、説明する動画を用いて、素晴らしい成果を上げたことが何度もある。しかし、説明用の動画が、コンバージョンのプロセスを妨げるケースにも遭遇している。
  • 同じタブで開くリンク — コンバージョンの要素ではないクリック可能なリンク/ボタン/画像を加える行為は、ランディングページにおける大きな過ちの一つである。ランディングページを離れるリンク – つまりサイト外部のページへ向かう – を提供すると、コンバージョンを失うリスクが生じる。ウェブサイト上のユーザーのクリック行動を分析したいなら、ヒートマップの分析を検討しよう。

アイテムの削除は、アイテムの追加と同じぐらい効果が高い。コンバージョンを最適化する取り組みは、単純な足し算/引き算ではなく、変化である。従って、テストと実装、テストと実装を繰り返す必要がある。

まとめ

コンバージョンの最適化は、各種のA/Bテストの結果を合計するだけのプロジェクトではない。また、ボタンの色を変えたり、トーンの強いコールトゥアクションを加えるだけでのプロジェクトでもない。

今回の投稿で紹介した3つの大きな問題に対応すれば、コンバージョン最適化のプロセスを推進し、コンバージョン率を高くすることが可能になるだろう。

最後に問いたい。コンバージョン率の改善について、マーケッターは何を知っておく必要があるのだろうか?


この記事は、Quick Sproutに掲載された「What Every Marketer Needs to Know about Conversion Optimization」を翻訳した内容です。

日本でもA/Bテストが大分普及してきたように感じますが、単純に要素のテストに終わらず、ここに書かれているような全体像を考えた上でテストできるとさらに効果が期待できそうです。後半にあった改善のために「何を加える事が出来るだろうか?」ではなく「何を変更することが出来るだろうか?」であるべき、という一言は心に沁みました。
なお、宣伝になりますが、弊社アイオイクスでもコンバージョン数を最大化させるための [SEOコンサルティング・コンテンツSEOサービス]をご提供しておりますので是非ご活用ください。
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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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