検索結果1位をクリックするユーザーは50%以上、検索結果に戻ってきたユーザーは下位の結果を5〜8倍クリックする

[対象: 全員]

米Bingが、検索順位に応じたクリック率(CTR)の統計データと、それに対するBing検索の改良について Search Quality Insights Blog で解説しました。

以下の結果を公開しています。

  • 平均して、50%のユーザーが1位をクリックしている
  • 2位より下は著しくクリック率が落ちる
  • 8位をクリックするのは1%未満
  • 検索結果に戻ってきたユーザーが下位に表示されたページをクリックする率は5〜8倍に上がる

掘り下げて見ていきましょう。

検索結果における順位ごとのCTR

下は3〜8位までのクリック率(CTR)を示したグラフです。

Bing検索結果のCTR推移

1つめの「pos 3 – answer」というのは「Instant Answer」と呼ばれる機能が3位に表示される情強です。

「Instant Answer」ウェブページを返す通常の検索結果とは別ものでユーザーの求める情報を直接提供します。

下は“weather tokyo”のInstant Answerです。
東京の天気予報を検索結果ページでそのまま教えてくれます。
weather tokyo のBing検索結果

下は“how tall is tom cruise”のInstant Answerです。
トム・クルーズの身長を検索結果ページでそのまま教えてくれます。
how tall is tom cruise のbing検索結果

Googleにも同等の機能がありますね。

話がそれましたが、Instant Answerの割り込みによって検索順位がさらに押し下げられることがあるということを補足しました。

いずれにしても、平均50%のユーザーがクリックした1位と比べると、3位以降はずいぶんとCTRが落ちていることがグラフから読み取れます。
8位は1%に届くか届かないかです(Bingは1ページにつき8件表示、詳しくは後述)。

SEOの観点から見ると、トラフィックを集めるにはやっぱり1位を取ることが重要だと言えそうです。。

満足しなかったユーザーは下位の結果も見る

1位のCTRが飛び抜けて高いのは特に新しい事実ではありません。
どんな調査データからも分かることです。
自分自身の検索行動に照らしあわせても明らかなはずです。

Bingのデータで興味深いのは、どれかの結果を訪問した後にブラウザの「戻る」ボタンで検索結果ページに戻ってきたユーザーは下位の結果をクリックする率が初回よりも大幅に高くなるということです。

5〜8倍になると言っています。

1位もしくは上位に出てきたページでは完全に十分な情報が得られなかったのでしょう。

そんな場合は下に出てきたページも普段より入念にチェックすると考えて良さそうです。

Bing検索結果の件数

Bingはこうした統計データをもとに検索結果ページに表示する件数を変化させています。

検索結果件数を動的に増減させる

たとえば、1回目の検索結果では表示件数を、検索エンジンでは一般的な10件から8件に減らしています。
下に出てくる結果はCTRがとても低いので2ページ目に回してもさして問題になりません。

表示件数を減らすことで検索結果ページの表示速度を速めることに成功しています。

ところが、ユーザーが戻るボタンで再び検索結果に戻ってきたときは今度は12件表示に増やします。
順位が低い結果も見る傾向にあることがデータからわかっているからですね。

今度は表示件数を増やすことでユーザーがページをめくる手間を省くことに成功しています。

下は初回の検索結果ページです。
8件表示になっています(動画のブレンド検索結果を除く)。
初回は8件表示

こちらは1位をクリックした後に戻ってきたときの検索結果ページです。
12件表示に増えています。
戻ってくると12件表示

検索結果件数をさらに少なく

検索結果の表示件数をBingはさらに少なくすることがあります。

こちらは“ebay”の検索結果ページです。

「ebay」の検索結果

下3分の2ほどのところに差し込まれているニュース結果を除けば、4件しか表示されていません。

“ebay”で検索するユーザーはそのほとんどが、eBayの公式ホームページを探していると考えられます。
いわゆるナビゲーショナルクエリで、公式サイト以外のページを見ようとは望んでいないはずです。

1位の結果にはDeep Links(ディープリンク)が表示されています。
ディープリンクは、そのサイトのなかのページへ直接アクセスできるショートカットリンクでGoogleのサイトリンクに相当します。

Bingによれば、ディープリンクを合わせた場合の1位のクリック率は75%以上だそうです。
実に4分の3のユーザーが1位をクリックしていることになります。

3位ですら1%未満です。

こうなると8件よりもさらに少なくしてもまったく問題はなさそうです。

こうして大胆にも、4件しか表示しない検索結果ページをBingは提供しています。
(Googleは、サイトリンクが出る検索結果では7件表示にしている)

また検索結果件数のさらなる増量も逆に試みています。
戻ってきたときは12件にしていますがこちらも拡大し14件表示を試験的に提供し始めました。

まとめ

「1位になるとどのくらいクリックされるのか」、「1位と2位ではどのくら開きがあるのか」のように検索ランキングとクリックのデータは気になる問題です。

これまでにも何度も取り上げてきました。

検索結果1位のクリック率がいちばん高いのは疑いようのない事実として、各調査によってその数字にはバラつきがあります。

今回Bingが明らかにした、検索結果に戻ってきたユーザーは下位の結果を5〜8倍も多くクリックするという事実は新たに出てきた情報です。
僕にとっては非常に興味深いものでした。

検索キーワードや検索の意図、検索者が置かれた状況によって検索結果のどこをクリックするかは大きく変化します。

検索結果といえば10件が当たり前のように思ってしまいますが、表示件数を動的に変化させるBingの試みは理にかなっていますね。

なお、表示件数の調整は米Bingにおける仕組みです。
米Bingには他にもGoogleにはない様々な機能があるのですが、そのほとんどは日本では利用できません。

なぜグローバルで連携しないんですかね。
本当にやる気があるのかしら?